|
「川崎バートル KV-107Ⅱ」は、アメリカのヘリコプターメーカー「バートル社」(1960年にボーイング社により買収・吸収)が開発・製造したタンデムローターのヘリコプター「V-107」を、川崎重工業が1965年に生産販売ライセンスを取得して製造・販売を行ったヘリコプターなのだそうです。
このトミカの「KV-107Ⅱ」は、民間向けの旅客機型仕様の、胴体側面に角窓が並ぶタイプのものとなっているようです。
そして、このトミカは、アメリカのニューヨーク州に拠点を置いて1949年から1979年まで実在していたヘリコプター航空会社「NEW YORK
Airways」が、実際に導入し運用していた実機の「ボーイング バートル(Boeing Vertol) BV 107-Ⅱ」がモデルとなっているようです。
「NEW YORK Airways」は、ニューヨーク州のラガーディア空港(LaGuardia Airport)に本社を置き、郵便や貨物の輸送、乗客を乗せたヘリコプターを運航していたようで、アメリカにおいて乗客をヘリコプターに乗せて飛ぶ、初めての定期運航ヘリコプター航空会社となっていたようです。
ネット上で調べてみると、「NEW YORK Airways」の「BV 107-Ⅱ」の実機のカラーリングは、エンジン搭載部が赤く塗装され、機体上面は青色というよりも紺色系の深い色で、機体底面も紺色系で塗装されているなど、少々このトミカとは異なってはいるようです。
「KV-107Ⅱ」は、陸上自衛隊(上陸・輸送用・VIP仕様機)・海上自衛隊(機雷掃海ヘリ)・航空自衛隊(捜索救難型)に採用されて活躍(現在は全て退役済み)したほか、警視庁や民間向けにも販売され、日本政府による「武器輸出三原則」が発表されるまでは海外(スウェーデン、タイ、サウジアラビア)へも輸出されたそうです。
「KV-107Ⅱ」は、全長25.4m(回転翼含む)、胴体全長13.66m、全高5.09mで、巡航速度は241km/h、航続距離は400km(増槽使用時:1,100km)となっているようです。 |
|
上部ビュー |
トミカの中古市場では、この「川崎 バートル KV107-Ⅱ」のトミカは、ローターが破損・折れたり、欠損しているものを多く見かけます。
現在もそうですが、発売当時のトミカは子供の遊び道具のひとつともなっていたため、小さい子が手にもって遊べば、当然のことながら、ローターや後部ランプが破損したり、シールが汚れたり剥がれてしまったりしたことと思います。 |
|
左右サイドビュー |
このトミカは、機体色が青色と白色のツートーン基調で、機体側面に「NEW YORK Airways」と書かれたシールが貼られているのが特徴です。
シールに書かれた「NEW YORK Airways」の文字のデザインは、かつて実在したヘリコプター航空会社の「NEW YORK Airways」のものがモデルとなっています。
|
|
|
リアビュー |
機体後部には、貨物の積み降ろしを行うための、傾斜板式の扉「ローディング・ランプ」(カーゴランプともいう)が備えられています。
|
|
|
機体後部にある傾斜板式の扉「ローディング・ランプ」は、開閉仕様となっています。
|
|
トミカ本体底面 |
トミカ本体底面には車輪が3個付いていて、手転がしで遊べるようになっています。 |
|
航空自衛隊 V-107 救難ヘリコプター |
航空自衛隊浜松基地(静岡県浜松市)に隣接して設置されている「航空自衛隊浜松広報館 エアパーク」の展示格納庫にて展示されていた、実機の「航空自衛隊
V-107 救難ヘリコプター」です。
掲示されていた説明パネルによると、バートル107(V-107)は、陸上自衛隊で1966年に国産化機を領収したのをはじめ、航空自衛隊では第1号機を1967年11月に「S-62」に代わる救難ヘリコプターとして領収したのだそうです。
航空自衛隊仕様のV-107は、航続距離を延ばすために、胴体両脇に大型のスポンソンタンク(増槽)を装備しているのが特徴で、このタンクは、着水時の安定性を向上させるためのフロートを兼ねているそうです。
そのほか、機体両側面には捜索用の可動式サーチライトと、機上からの視界を広くするために丸く膨らんだバブルキャノピーを備え、右側面前部には約270kgの吊り上げが可能な電動式のホイストクレーンを装備しています。
また、性能諸元は以下のとおりとなっています。
・ローター直径 15.25m
・胴体全幅 4.4m
・胴体全長 25.4m
・全高 5.15m
・全備重量 約9,700kg
・エンジン CT58-IHI-110-1 1,250HP×2基
・最大速度 250km/h
・実用上昇限度 5,500m
・航続距離 1,000km
・乗員 5名 |
|