飯田線の小和田駅下方の天竜川で活躍する浚渫船と土運船 
鉄道関連趣味の部屋

 このページでは、現在では飯田線の秘境駅として知られる小和田駅を訪れた時に、同駅下方(北側)を流れる天竜川にて、
川底に堆積する土砂を取り去る作業を行い活躍する浚渫船を見ることができましたので、その様子をご紹介しています♪

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小和田駅(小和田-中井侍)
こわだ


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飯田線の秘境駅の小和田駅下の天竜川で活躍する浚渫船と土運船
周囲に静寂感漂う小和田駅下の天竜川で元気に活躍する浚渫船と土運船

 この日、わたしは初めて小和田駅を訪れたのですが、駅のホームに降り立つと、同駅の北側を悠々と流れる天竜川のほうから「グオ~ン グオ~ン」という機械音がしていました。

 ひょっとしたら、この音は…


 わたしは、かつて飯田線の大嵐駅を訪れた時に「なんでこんなに静かな場所なのに、工事作業のような妙な機械音がするのだろう?」と、とてもいぶかしく思ったことがありました。

 周囲を見ても山と佐久間湖(佐久間ダムのダム湖)ぐらいしか見えず、ある意味とても不気味だったのですが、大嵐駅の西側にあって佐久間湖に架かる鷹巣橋の辺りを通りがかった時に、ふと佐久間湖の水面のほうへ目をやると… なんとそこには、なにやら大き目の船のようなものが浮かんでいるではありませんか!

 わたしはその時は佐久間湖や天竜川で活躍する浚渫船の存在自体を知らず、後から調べてみてその船のようなものが浚渫船であるということがわかったのですが、その時は、どうやら大嵐駅の周囲の山中に不気味に低音で響く機械音は、間違いなくこの船から出ているものだ、とようやくわかり、ちょっとした安心感を覚えたことを記憶しています。


 そのような大嵐駅近くでの経験があったため、この日、小和田駅のホームに降り立って「グオ~ン グオ~ン」という聞き覚えのある機械音が天竜川のほうから聞こえてきた時は、すぐに「浚渫船がいるのでは!?」と判断することができました。

 小和田駅のホームからはその姿を見ることはできませんでしたが、ひとまず駅舎や「愛の椅子」東屋、遺棄されたダイハツ ミゼット、製茶工場跡などを見学してから、天竜川の岸辺のほうへ出てみると、予想どおり浚渫船がいて、上の写真のように元気に活躍する浚渫船と土運船の姿を間近で見ることができました。

 この日は暑いながらも天気は良く、小和田駅を訪れるまでは漠然と「運よく浚渫船が見られるといいなあ」と微かな期待は抱いていたこともあって、小和田駅のホームに降り立って本当に浚渫船の作業音がしていた時は、ちょっぴり嬉しい気持ちにもなりました。

 ただ、もしかすると、ここの小和田駅下の天竜川では、浚渫船がよく見られるのかなあ、と思ったりもしましたが、詳細はわかりません。


 佐久間ダムのダム湖である佐久間湖とその上流の天竜川では、湖底や川底に堆積する土砂を取り去る作業を行う浚渫船(しゅんせつせん)が活躍しています。

 現在では、佐久間ダムの貯水容量に対して約30パーセントが土砂などで占められているともいわれ、ダム湖への土砂の堆積は貯水量に影響を及ぼし、湖底の汚染などにもつながるため、浚渫作業が非常に重要であることがわかります。

 上の写真は、小和田駅下の住居跡北側の天竜川沿いから撮影したもので、写真の浚渫船は、船に設置されたクローラークレーンで湖底の土砂を取り除き、土運船(どうんせん)に積むタイプの「グラブ浚渫船」だと思われます。


 2022.06.29現在





小和田駅下から高瀬橋へ向かう途中の小道から撮影した浚渫船と土運船

 上の写真は、小和田駅下にある住居跡近くから高瀬橋方面へ向かう小道(散策道)を、住居跡下から約200メートルほど高瀬橋方面へ歩いた場所で撮影したものです。

 写真左奥のほう(西方向)へ行くと、小和田駅のほうへ行くことができます。

 この時は、小和田駅の北東にある、今は床板が朽ち果てて通行不可能となっている吊り橋の高瀬橋まで行くことを決めていましたので、その道中に写真のように天竜川や周囲の山々が綺麗に見渡せる場所があったので、そこから振り返って、先ほど見た浚渫船と土運船の写真を撮影してみようと撮った1枚になります。

 すると、驚いたことに、天竜川の大嵐方面から何やら別の船のようなものが近づいてきているではありませんか!

 この時は高瀬橋へ行くという目標がありましたが、せっかくなので、近づいてくる船が何なのか、ある程度はっきりわかるまでしばらく待ってみることにしました。


 2022.06.29現在~天気は夏日
 (以下に掲載する写真は、特に記述が無い限り同日のものです)




グラブ浚渫船と土運船

 大嵐方面から近づいてくる船がもっと接近してくるまでの間に、上の写真を撮影したものです。

 グラブ浚渫船のクローラークレーンが川底からすくい上げた土砂を、接舷(せつげん)している土運船に積み込んでいる様子がよくわかります。

 佐久間湖や天竜川で活躍する浚渫船の種類としては他に、船に備えられたクレーンとバケットで土砂をすくい上げて自らの船に積み込むガットバージ浚渫船、船に装備されたホースとポンプで土砂を吸い上げ自らの船に積み込むポンプ浚渫船、船に搭載したバックホウで土砂を除去し土運船に積み込むバックホウ浚渫船、船に備えられたクレーン重機で土砂を除去し土運船に積み込むクレーン台船改造浚渫船などがあるそうです。

 天竜川水系のダムでの浚渫作業を行っていらっしゃる愛利産業株式会社さんの公式サイトによると、1船の人員は4~5名で、浚渫期間は例年4月~2月、年間の作業日数は約250日にもなるそうです。


 今回は、浚渫船の作業の様子をほんの少しの短い時間見ただけではありますが、遠くから見ていると、機械音はするけれども、何か人の動きのようなものは今回は見られず、まるで無人の機械が黙々と作業しているような感じとなっていて、結果として、近くに同じ人間がいるのは間違いないのですが、小和田駅周辺に取り残されたような孤独感にも似た感覚が、完全に消え去るということはありませんでした。

 また、小和田駅から高瀬橋へ向かう小道の途中には、「クマ注意」の掲示がありますが、たとえ自分がクマに襲われたとしても、浚渫船は天竜川の水上にあって機械音が轟々と発生しているわけですから、自分から助けを求めても浚渫船まで声は届かないでしょうし、浚渫船の人がクマの襲撃に気付いて助けてくれたりすることもまず無いだろうなあ、と考えると、人が間違いなく居るはずの浚渫船が近くにいるのに、何かこうとてつもない距離感を感じざるを得ませんでした。

 ただ、そうはいっても、秘境と呼ばれ普段は人気の全く無いこの小和田の地において、確かに近い場所に人の気配が感じられるというのは、ほんの少しでも安心感や勇気が得られることも事実ではあります。




だんだんと近づいてくる土運船

 大嵐方面から近づいてきた船は、どうやら土運船だったようです。

 よく見てみると、近づいてくる土運船は荷台が空(から)のようで、グラブ浚渫船に接舷している土運船のほうは、荷台にかなり土砂が積み込まれている様子がわかります。

 おそらく土運船の交替のために、大嵐方面からやってきたようです。

 そして、近づいてきた土運船は、天竜川の水面に綺麗な弧のウェーキ(航跡波)を描いて、船体の方向を転換させ始めました。




船体を横に向けた土運船

 大嵐方面から近づいてきた土運船は、さらに船体を横向きに方向転換させて、作業中のグラブ浚渫船と土運船のほうへ近づいてきました。

 わたしはこのあたりで、これらの浚渫船と土運船の動きを観察するのは終わりにして、そろそろ当初の目的地である高瀬橋を目指すこととしました。

 下に掲載する写真は、高瀬橋から戻ってきた時に撮影したものになります。




高瀬橋から戻ってきた時のグラブ浚渫船と土運船の様子

 上の写真は、いったん高瀬橋まで向かい、約1時間後に同じ場所に戻ってきた時に撮影した、グラブ浚渫船と土運船の様子です。

 わたしが高瀬橋に向かう前にグラブ浚渫船に接舷していた土運船は、おそらく土砂の積み込みが終了してすでにどこかへ移動したようで、さきほど大嵐方面からやってきた空(から)の土運船が180度方向転換を終えて、グラブ浚渫船に接舷していたようです。

 一方のグラブ浚渫船は、引き続き川底の土砂の除去作業を行っていました。

 また、上の写真を拡大してみて気付きましたが、グラブ浚渫船の右側(北側)には、船尾に「せきれい」と書かれた小型船が接舷していたようです。

 なお、土運船に積まれた土砂は、一般的には、陸揚げして土砂処分場までダンプトラックで運ばれたり、埋め立て地に運ばれたりするようですが、佐久間湖や天竜川の場合は、主として建設用のコンクリート骨材(こつざい)とするために域外へ持ち出されたり、浚渫後に下流の深部へ移動させる湖内移送(湖内の堆砂量は変わらず)などの処理がなされているようです。



 以上、飯田線の小和田駅下の天竜川で活躍する浚渫船と土運船をご紹介させていただきました☆

 その他のページでも、飯田線の小和田駅周辺の様子をご紹介させていただいておりますので、よろしかったら是非ご覧ください♪






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